仕事をするときも、そもそもなんでこの仕事やってるんだ?という視点がないと首になる、など書いてきましたが、日本企業だと実際はコツコツやっても何とかなります。
仕事の捉え方にも差がある
例えば、システム開発のスケジュールが逼迫しており、ベンダーの業務を詳細にチェックするケースがあります。その際、課題管理票で課題ごとの対応工数を記入させて、残り日数と比較をしながら、ベンダーの管理を行います。
3人で作業しており、残り10営業日しかないのに、工数の合計が40人日とかなっているとすでに破たんしているわけで、そうなるとベンダーと協議して、人数を増やすか、要件減らすなどの対応を至急行うことになります。
つまり、想定のスケジュールに納まるのかどうかという目的を達成するために、詳細化したデータを取得するという作業が発生します。
新人君には、とりあえず作業として、「課題管理票の対応工数がちゃんと入っているか毎日確認して」とか投げるのですが、作業の目的を意識しているかどうかで、対応にも差がでてきます。
理想的なパターン
「対応工数がXXなんで間に合いそうです」とか、「対応工数がXXなんで、このままではスケジュールが順守できません」など報告があるケースです。このケースでは、なぜ工数に注意しているのかその目的を理解しています。
つまり想定スケジュールが実現可能なのかどうかを、数値を見て自分で考えて、報告してきます。
作業だけやるパターン
「対応工数全部入ってます!」みたいな感じです。
「えー、でどうなの」と聞くと、
「えっ、足すとXX日ですね。」
「それじゃ間に合わないよね」
「あっ、ホントですね!」
みたいな反応をするケースです。
これは、そもそも、なぜ工数を把握しようとしているのかが分かっていないので、単に作業をやっているだけです。
何もやらないケース
やれといったことをやらない場合です。「そういえば、工数どうなってる?」と聞くと、「あ、えーと、まだ入ってませんね」みたいなケースです。
単純に忘れているのは論外ですが、忘れていなくても、この作業の重要度を理解していない時点で先が思いやられます。
コツコツ積み上げてもそれなりに伸びる
コンサル会社なんかだと、「理想的なパターン」以外の人材はダメだしされます。確かに、それ以外の人は伸びないもしくは、伸びのスピードが遅いのは事実です。
しかし、うちみたいな中堅ユーザー企業では、そんな贅沢も言っていられないので、少なくとも「作業だけやるパターン」の人材も育成する必要があります。
なんどか、そもそも論を考えさせる、抽象化させるという方向でがんばってみるのですが、そういう脳の構造はしていないらしくなかなか進歩が見られません。
で、あきらめて、とりあえず作業をやらせ始めます。
基本あまり期待せず作業をやらせるのですが、作業のタイプが増えていくと、点と点をつなげだして、その線の意味合いを理解したりします。
「工数と工数と積み上げて、予定スケジュールに納まるか」
と、
「見積りと見積りを積み上げて、予定コストに納まるか」
等、どっちも「個別の数値を積み上げて目標が達成できるかの判断をする」というタスクですが、繰り返し行っていると関係性を理解し始めます。そうすると、目的の範囲に収めるために、詳細化して把握するというような行動がとれるようになります。正直、驚きです。
エースじゃないけど十分戦力
コンサルなんかだと、短期的にダメだしされるのですが、日本企業のよいところは終身雇用なんで、長期的に育成が可能なところです。
別に大器晩成というわけでもないので、理想パターンの人材には、追いつかないことも大半です。ただ、それでも十分に戦力にはなります。決してエースで4番ではありませんが、エースがやりたがらない地味な仕事を確実にこなす6,7番にはなりえます。
人間短期的にダメ出ししては、ダメ!ということです。かなりの数の人材が、実はそれなりの戦力になるはずです。
こんなことを日本企業に来て学習しました。