前回、IT部門の境界が日に日に曖昧になってきているという話をしました。
さらに面倒にしているのは、各種機器から産み出されるデータの扱いです。
データは誰が管理する
IT部門が管理しているサーバーには、データがたまります。これを活用する際にIT部門の仕事はどこまでやるべきなのかも問題になります。当然、数値から何を読み取るかという分析は現場で行うべきなのですが、SQLサーバーでデータを取得したり、加工することは現場ではできません。ですので、こういったところはIT部門がサポートします。
そのあたりも現場主導に移していこうということで、多少気の利いたBIシステムなどを入れてみても、悲しいかな中堅・中小企業では、そういったのもなかなか使いこなせません。
さらには、エクセルもろくに使えない状況だったりするので、BIで数値だして簡単なエクセル表を作ってとやっていると、徐々にサポート範囲が広がります。
しまいには、データの分析方法や結果の読み方などの指導までするはめになり、ここまでいくとIT部門の管轄じゃないよなというのが正直な感想です。
ただ、経営者からすれば、「データ活用は重要」であり、「IT部門は理系が多くてスキルがありそう」となれば、IT部門がやらざるを得ないということになります。
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やる人がいない
ちなみに、ビックデータがらみの組織づくりや人材育成は、どこのユーザー企業IT部門でも共通の問題のようです。
http://www.juas.or.jp/servey/it15/it15_ppt.pdf
テーマとしてビックデータが取り上げられており、P17の「ビックデータ活用における課題」には、
2位:データ分析・活用のための体制/組織の整備
4位:人材(データサイエンティスト)の育成
と、組織、人材の問題が取り上げられています。多くのユーザー企業では、IT部門にデータ分析人材が求められれているのかもしれません。
どこにやらせた方が手っ取り早いか
しかしながら、IT部門とデータサイエンティストは直接関係ないですし、ITはデータ分析の一端でしかありません。
データサイエンティスト協会によると、データサイエンティストに必要なスキルは、「ビジネス力」、「データサイエンス力」、「データエンジニア力」だそうです。
ごくふつうの中堅ユーザーIT部門を考えれば、持っているスキルと言えば、「データエンジニア力」だけです。(最近はそこも外部に委託していたりするのです、怪しいものですが)
経営者が、データサイエンティストをIT部門に要求するということは、IT部門の人材に、「ビジネス力」と「データサイエンス力」を身に着けさせたいということになります。
ビジネスの現場担当者に、「データサイエンス力」、「データエンジニア力」を身に着けさせるよりもてっとり早いと感じているのかもしれません。
結局は人と組織の問題に
データだけでなく、IT部門は、常にあいまいな領域の中で業務を行い、いろんなスキル向上を要求されます。
たしかに、人とカネを大量にIT部門に投入して、業務範囲を広げることもできるかもしれませんが、それもある程度で限界が来ます。あまりに増えすぎて、IT部総務課とか、IT部門データ課なんて組織が複雑化したら、それは本末転倒かと。
本当にどういった領域が会社の経営にとって重要なのか、その人材をIT部門で育成することが有効なのか、そのあたりを経営者はしっかり考える必要があるのではないかと。中間管理職の愚痴になりますが。
(目立ちませんが、良くまとまっており、統計のきっかけの書籍として抜群です)