中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

Google怖い?

今更ではありますが、GoogleのAI技術の進歩には驚かされます。でもその利便性の一方で、様々な個人情報が抜かれていくのは理解しておく必要があります。 

写真の認識

Googleフォトの認識力はもう言うまでもありませんが、驚異的です。
 
ディープラーニングの技術によりここ数年、この分野の機能は急激に進歩しました。
ちなみに、2014年の段階からすでに写真の認識は話題になっていました。
 
 
ここに例としてでてくるのは、こんな画像を読み込ませると
"A group of young people playing a game of frisbee."
と文書を自動的に生成するという話です。これが2年前の話なので、いまでは動画のタグ付けも自動になっているのではないかと。
 

闇ウェブより怖い?

前回、多くの個人情報は闇市場に流れており、クレジットカード情報なんかは、600円程度の価値しかないという話をしました。 
 その中で、価値のある情報というのは医療情報などの情報だという話もありました。個人情報で儲けようと企む犯罪者は、ありとあらゆる手段を駆使して盗もうとしますが、Googleにしてみれば、そんなものは盗みださなくとも、写真などのユーザーが進んで預けたデータから簡単に取得できるわけです。
 
例えば、
  • 40代の男の人がベットに横たわり点滴をつけている
  • 10代の男の子と、女の子が一緒にいる
  • 3人はカメラに目線を送っている
  • 医療器具が幾つか置かれている
といった写真の組み合わせで、
「40代のXXXさんは、胃がんで入院しており、Y月Z日に子供に囲まれて写真をとっている」
というような解釈は自動でできそうな気がします。医療器具からどんのような病状かも推測可能でしょう。
 
それが認識できれば、まずは、Googleのお得意の広告に連動です。
「ガンになっても入れる医療保健のご紹介」
とgmailの横にでれば良いわけです。
 
これって、闇ウェブから情報買ってスパム流すのと同じでは?
 
不正に入手した情報とは違うという意見もあるかと思いますが、写真を入れた本人はそこまで情報が読み取られることは理解していないかもしれません。
 
利用規約を細かく読めば同意はとっているとは思いますが、「写真の内容をAIが分析し、情報を理解し、広告を送ることがあります」とまでは書いていないような気もします。
 
これって微妙ですよね。情報を不正に直接入手するのか、間接的にわかりにくい同意をとって入手するのかの差だけのような気もします。
 
さらにGoogleなら、医療器具や部屋の様子からどの病院の何号室かまで特定できるかもしれません。これは、個人のPCから情報を盗むくらいではわからない情報で、より価値の高い情報かもしれません。
 
うーん恐ろしい。
 

雇用も無くなるか

Googleだけでなく、amazonフォトも、dropboxもやっていることは同じです。でもこういったサービスで個人情報が把握される方が、闇ウェブで売られるよりまだマシな気もします。結果として、闇ウェブでの個人情報売買や、名簿屋ビジネスが縮小すれば社会全体としては、良いのかもしれません。
 
また、amazon mechanical turkでよく見かける、写真のタグ付けのお仕事もなくなるかもしれません。そもそも、このタグ付けの仕事そのものが、機械学習のためのインプットだったりするので、学習がある程度進めば当然不要になります。そうなると、バングラディシュやインドといった単価の低い国の仕事が多少は減るのでしょう。
AIが進歩すればするほど、各所で雇用が減るは当然ですが。
 
さて、ここまで書きましたが、それでもGoogleを私は使います。だって便利ですから。あー,
Googleが怖い怖い。
 
(闇WEBが概観できます。Torとか使ったことのない人は必読の書です。)
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