仕事のできる人間を見極めるというのは、昔から課題らしく、心理学の分野でもたくさん研究が行われているようです。人の選択の研究として100年近く前から行われているらしく、最近では性格と職業上の成果はある程度関係があるということが言われています。
で、今回は、性格と職業の関係の前に、そもそも性格はどうやって定義するのかという話から。
人をカテゴライズする類型論
性格の研究というのは、かつては類型論が中心だったようです。類型論とは、人間をいくつかに分類してそれぞれの性格の特徴を定義するといったものです。
例えば、飲み会でよくやる、「血液型何型?」ってやつです。この血液型による性格の分類ですが、創設者は古川竹二という学者とのことです。
20世紀初めにA,B,AB,Oの血液型があると発見されて、これが性格と関係あると考え、知人を観察した結果
- A型:消極的・保守的
- B型:外面的に積極的・進取的
- O型:積極的・進取的
- AB型:A型とB型を合わせたもの
があると考えました。
これは、1971年になって能見正比古氏の書籍により急激に広まります。その際、血液型人間学という学問が提唱され、いままで数多くの研究がされています。
日本では、マスコミに取り上げられ広く普及したようです。ただ、一方でトンデモ科学と言われ批判されている面もあり、どうも最近は血液型で性格がわかるというのは分が悪いようではあります。そもそも、人間の性格を4つに分けようというのは無理があるといえば当然ですが。
ただ、飲み会の席で、「お前やっぱりA型だからこまかいのか!」とかは、この先もなくならないと思いますが。
他にも体格から性格を推定する方法、頭の形から推定する方法などもかつては論じられていましたが、最近ではそれをサポートする研究はほとんででてきていないようです。
類型論から特性論に
最近では、人を分類してカテゴライズする方法(類型論)はやめ、性格の特徴を変数・数量で扱う、特性論というのが主流になっているようです。
「Aさんは、O型なので積極的」
というのではなく、
「Aさんは、積極的得点が15点」
といった、性格の要素を連続的な数値で表すものです。
「Aさんは、外向性がずば抜けて高いが、やや神経症の傾向もでている」
といったような結果となります。まあ、人間を4つに分類するよりも自然な感じはします。
なんだかんだで5つに分かれる
この特性論のなかで、性格を表すのに最近有力なのが、ビッグファイブというものです。
これまで100年以上、学者たちは性格の研究をしてきました。で、そこらへんまとめてみると、人の性格はどうも5因子くらいに分かれそうだというのがビッグファイブと呼ばれる5つの性格因子だそうです。
この研究などが有名です。
ビッグファイブで定義される5つの因子は、
- 外向性(extraversion)
- 協調性(agreeableness)
- 良識性(conscientiousness)
- 神経症傾向(neuroticism)
- 開放性(openness)
で、性格は大きくこの5因子で説明できると言われています。
例えば、外向性には、「外向的」、「精力的」、「おしゃべりな」、「活発な」といった形容詞が当てはまります。
このビッグファイブに基づくテストを行うと、「あなたは外向性が8点、良識性が1点です」といったように性格を診断されます。
ビックファイブのテストには、さまざまありますが、例えばこの書籍にでてくるものは、70項目に対してYes/Noを応えることで測定します。例えば、「どちらかというと地味でめだたない方です。」といった質問を、瞬間的に考え、答えていくことで性格を判断します。
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ちなみに、この性格判断の設問はたくさん研究されており、ひとつの方向性が、設問数を減らす研究です。わずか10問で70問と同じくらいの精度で結果がでるというものもあります。ただしこの設問はYes/Noでなく、7段階(かなりそう思う、そうは思わない等)で応える形式ですが。
例えば、「他人に不満をもち,もめごとを起こしやすいと思う」という質問に7段階で回答します。
http://gosling.psy.utexas.edu/wp-content/uploads/2014/09/TIPI-J.pdf
そして、ビックファイブで性格が測定できるとなると、この結果が他の要素とどのようにかかわるのというところに興味が向きます。それも近年多くの研究がなされています。
例えば、性格と人格障害などが数多く研究されています。中には、自動車事故との関係を研究しているものもあり、それによると事故を起こしたことがあるグループと、無いグループでは、良識性の点数で有意な差がでるそうです。
そして、当然、これら性格と職業の適正についても研究されています。
つづく。
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