「肩書なんて無意味だ!」なんて言い張っちゃう人もいますが、本当は大事ですよ。特に企業の名前やブランドには、企業が何十年、何百年かけて築きかげてきたものが詰まってます。企業名+肩書には、それなりに価値があります。それに対して、無意味と言ってしまうのは、あまりに言い過ぎではないかと。
外資系から日本老舗企業へ
先日、某場所で、外資系→国際機関→スタートアップ→日本老舗企業と転職した方の講演を聞きました。
講演の本題からははずれて、企業ブランドの話になったのですが、その方が言うには、
XX(今の会社名)を出すだけで、「ああ、あの会社ね」って、わかってもらえるんですよ。これって奇跡的ですよね。
しかも、多くの人に良いイメージが湧くようで、初対面でも協力的な雰囲気になるんですよ。
とのこと。さらに、
以前なんて、名刺出して会社名の説明からスタートでした。変な勧誘会社ではない、とわかってもらうまでがまず大変。
だったそうです。
理屈で言うのは簡単だけど
ちょっと前には、「これからは個人の時代」とか、「企業に依存しな生き方」なんてのをよく耳にしました。最近は減っているかな。
「大企業だってつぶれる時代」だから企業に依存してはダメ。なんてのも多かったかと思いますが、いうほどつぶれてないですよね。中小、スタートアップの方が当然つぶれているかと。
「日本企業の終身雇用的な制度はもうもたない」というようなのもあり、確かにその通りですが、日本企業もそんなにばかじゃないので、それなりに適応して生き延びています。
日本企業の肩書で生きている人にダメだししているのを見ると、その本人はMBA→外資コンサルみたいな日本企業知らない人だったり、日本企業いました、っていっても新入社員で2年で転職みたいな人だったりします。
実際、入ってみるとわかる
自分は、外資→スタートアップ→古典的日本企業なんてキャリアなんで、結構違いが分かります。
しょうもない話、企業名+肩書でお金が借りられます。以前のスタートアップなんて、某シネマのカードすら与信に落ちる状況でした。下手したら、今より収入あったのに。確かに、「日本の金融機関は判断能力がない」と金融機関の問題にもできますし、「お前のスタートアップが問題だ」と言われればその通りですが、それでも実際にカードすら作れませんでした。
ところが、今の中堅企業(それなりに歴史はある)ですら、入社してみると普通のカードなら全く問題なく通ります。また、住宅ローンや各種ローンも優遇金利があったり、さらには不動産屋も率先して物件を紹介してくれたりします。管理職の肩書が付くと、それなりに対応が違ったりもします。
他の会社にインタビューに行くのも簡単です。
以前は、コンサルの仕事がら企業に電話してインタビューのお願いをしていたのですが、まず会社名の説明、変な売り込みでないことの説明等々、それでも成功率は、半分以下でした。
今でも(別にインタビューする必要もないのですが趣味で)、個人的に興味のあったところには、連絡取って話を聞きにいったりします。その時、XXXって会社名を出すと、「ああ、あの会社ね。なんでまた」みたいな感じで、話が進みやすかったります。
確かに、企業によるブランド差異はあるかもしれません。「トヨタ」や「三菱商事」などといった大企業のブランドならそれはあたりまえかと。でも、もう少し中堅のブランドでも、歴史のある会社には十分ブランドがあります。それにより、肩書としても十分な価値があります。少なくとも日本国内では。
このあたりは、肌感覚なんで、実際に入社したことがない人はわからないんだろうなというのが正直なところではあります。
ちなみに、これは官僚も同様のようです。
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官僚やめたら連絡すら取れなくなったという話。付き合っている人がその程度の人だったんだというのは簡単ですが、官僚の肩書が人をひきつけていたのも事実かと。
依存すると利用するのは違う
別にこういった肩書の価値を認識して、利用するのは全く問題ではないかと。(悪用はまずいですが)
問題は、肩書に依存しすぎることかと。自分の価値と企業の肩書が持つ価値を混同してしまうとさらに問題です。
聞いてもいないのに、「XXX社の専務のYYYだけと」ってなるともう終わりですね。専務ならまだしも、課長くらいでやりだすとヤバいです。
あと、まわりのベンダーが言うことをきくのを、自分の能力だと勘違いしてしまっているケースもまずいです。多くの場合、それは、企業のお金と、その人が企業で持っている権限に、迎合しているだけであって、その人の言っている内容がすばらしいわけではないかもしれません。
こういったことがわからなくなってくると末期的で、本人の学習や成長が止まるので、企業にとってもいらない人材となってしまう可能性もあります。
やっぱり最後は個人のブランドを
今いる会社は、決して大企業ではありませんが、それなりに企業の名刺は使えます。
使い勝手がよいので、長くいればいるほど逆に不安になってきます。この名刺外したらどうなるんだろう…って。
なんで、積極的に会社と関係ないところで、関係を築いたり、仕事をやり取りするようにしています。
日本企業はそれほど潰れないなんていいながらなんですが、この先景気が悪化したらどうなるかはわかりません。2020年オリンピック後なんか、イベントもなく、人口も減少し、日本企業にとっては厳しい状況となるのは確実です。
やはりそうなると、最後は、個人のブランドなのかもしれません。(ここまで企業の肩書は重要だと言いながらも)。
XX社のYYさんではなく、YYさんという個人に依頼がやってくる、そういったことが必要かもしれません。
短期的にはともかく、中長期的には、個人ブランドで食っていける日を目指していかないとだめなのかなぁとも。
たまに、
「へえ、XX会社にいたんだ。全く知らなかった。」
とか言われるのは、うれしいですよね。これって、会社でなく、個人の仕事の質を見てもらっているような気がするので。
では、また。
(一時期より、鎮火しましたが、自由な働き方の本は読んでみる価値があるかと)
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(こちらは元レバレッジの人)
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