クラウドワークスで働いているワーカーの稼ぎが少ないと話題になっている件ですが、
クラウドソーシング企業に登録しているクラウドワーカーのうち、月収20万円以上を稼いでいる人が111人しかいなかったという話がネットで話題となっています。
クラウドワーカー = クラウドワークスワーカー、ランサーズワーカーが稼げないだけで、他で稼いでいるクラウドワーカー、そしてフリーランスはいくらでもいます。
クラウドソーシングは、地理的な制約を超えて人を雇用できることが最大の魅力で、世界規模で拡大しているサービスです。
クラウドワーカーそのものは、世界で見れば当然拡大していますし、米国では労働人口の3分の1にあたる5300万人がフリーランスと言われています。また、フリーランスの調査で49%がオンラインでの仕事受注経験ありという調査もあります。
単価についても、海外サイトを見れば、決して安い労働力ばかりというわけではありません。時給数百ドルのワーカーもざらにいます。
今回の話は単に、クラウドワークスで働いているワーカーが稼げないというだけです。別にフリーランスそのものや、クラウドワーカー全体に問題があるわけではないかと。
クラウドソーシングにはマーケットの仕組みが働く
クラウドソーシングは今まで働けなかった層が労働市場に入ってくるので、単価が一時的に下がるのは避けられないかと思います。ただ、いずれは適正価格に落ち着くはずです。
それが今より安くなるのであれば、それはこれまで高く取りすぎていたというだけです。
クラウドソーシングは参加者も多く、透明性も高いのマーケットの仕組みがいずれ働くはずです。
クラウドワークスワーカーが安い理由
にしても、クラウドワークス(CW)では安い労働力が満載なわけですが、これはそもそもCWが提供する付加価値が低いことにあります。
高単価で稼げるフリーランスが、わざわざこんな手数料の高い仲介業者を使う必要はないわけです。
高単価で優秀なワーカーはそもそも利用しない
能力の高いフリーランスは既に顧客がついています。CWで手数料を払う必要がありません。
顧客を探すにも国内なら人づてで十分探せます。あえて使うなら海外の顧客を探すために、upWorkでも使うでしょう。
CWで働いて優秀になったワーカーは直接取引に切り替えようとする
CWで発注していてちょくちょく起こるのが、ワーカーからの「次回以降
直接取引しましょう」という提案です。まあ、当然です、直接発注して、直接ワーカーの口座に振り込めば
良いだけです。(個人的には2度同じ人に発注しないので関係ありませんが。。。)
安い単価で生活できるワーカーばかりが集まっている
結果としては、安く低レベルの仕事を行うワーカーか、レベルは高いがそれほどお金に
困って無いワーカー(専業主婦の小遣いかせぎ、副業等)が残ることになります。
特に、副業ワーカーは、時間の融通が利かないので、その分値下げしてレベルの高い仕事をやってくれることが多々あります。そうなると全体的に値段が下がっていきます。
また、地方の生活コストの安い地域に住んで、都市部の発注者とのマッチングが必要なワーカーは利用するかもしれませんが、当然生活コストに合わせて単価も下がります。
こういった事情で安い単価のワーカーが残っていきます。
根本的にはCWが稼げないのは、稼げるワーカーがCWを利用しないからです。
全うなフリーランサーは外で稼げますし、それをあえてCWに切り替えるほどの付加価値がCWにはありません。
CWに高い手数料を取って提供されるものといえば、
- 発注者のプール(原則国内)
- 決済の代行
- 実績の記録、評価の記録、
- レコメンドによる仕事の紹介
程度です。これに見合う手数料かと言われれば、自分で営業して顧客をつかめるワーカーにとっては、このサイトを使う意味はないでしょう。
海外はそうでもない
繰り返しになりますが、米国では3分の1がフリーランスだと言われています。世界最大規模のクラウドソーシングサイトupoworkには1350万人が登録しており、その中には、時給$100などざらにいます。
upWorkのような海外のサイトは、ワーカー、発注者ともにプラットフォームを利用する価値があります。
例えば、個人や中小企業が、米国やインドのワーカーに発注する際には、直接取引はそれなりにリスクがあります。
発注者としては、直接取引するにせよ、
- そもそも海外のワーカーを探す手段がない
- ワーカーがまっとうかも把握できない
- 決済手段がない
等々、不安要素は多々あります。そういったものを海外のサイトはある程度解決してくれます。
特に、同じ日本人なら話せばわかるかもしれませんが、海外人材ですとサイトが提供する実績や評価が重要な判断材料となります。
10%程度手数料を取られますが、日本のサイトより安いですし、しかも国際送金の手数料等を考えれば安いものです。
一方で、ワーカーにとってみても、
- 国を超えて受注が取れる
- 実績や評価が第3者によって記録されるので発注者に安心感を与えられる
- 発注者が逃げ出しても保険がある(条件はあれど)
等々、メリットはあります。
とにかく、バングラディシュやパキスタンのワーカーが仕事を受注するには、upWorkとかに登録するしかないわけです。そうなると世界規模で人が集まってきて、単価も適正単価に落ち着きます。
日本のクラウドソーシングは、そもそもCrowdなのかという疑問があるわけで、ローカルでワーカーが集まって仕組み的に単価の安い労働力が集まってしまっているというだけの話ではないかと。
まあ、稼ぎたいワーカーは、さっさと直接取引にするか、海外に打って出てればよいだけです。
クラウドワークスワーカーは稼げなくて減っていくかもしれませんが、フリーランスやクラウドワーカーは世界的に増えていくはずです。
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