中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

要件定義なんて過去の産物?

AI、特にDeep Learningが進むと、システム開発も変わり、IT部門の仕事も変わるのではないかという話の続きです。

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AI時代のユーザーIT部門

Deep Learningのようなデータ主導の開発になると、これまでのような要件を決める必要がなくなります。そうなると現場ユーザー部門とのブリッジとなっていた、IT部門や、外部のSIerなどの必要性は減ってくるかもしれません。

 

自動運転、WEBサイトの自動広告選択、その他、AI的なデータドリブンの開発には、現場ユーザーと、AIエンジニアが直接話をして、データを集めればシステムができるかもしれません。IT部門の出番はなくなりそうです。

 

IT部門はAIシステムのインフラの整備を、とか思うかもしれませんが、これからクラウド化が進むと、ここもそれほど人材はいらないような気もします。また、高度なAI系のインフラとなると、そこまでのスキルセットを持つ人間をユーザーIT部門に育成するのも難しいかもしれません。

 

残りそうな仕事

このままいくとIT部門の仕事も減っていきそうです。しかし、完全に無くなるわけではなく、いくつか生き残れそうな領域もあります。

 

(Deep Learning開発者)

Deep Learningも「データ集めてボタン一つでOK」とは行きません。実は、ネットワークの構成方法や、ハイパーパラメータの設定等の職人的なスキルが必要です。また、Deep Learningではネットワークが深くなり、データ量が増えると計算パワーが必要になります。

そのため、Deep Learning用のインフラを構築する必要もあり、そういったスキルは重宝されると考えられます。

ただ、こんなスキルを持っている人は、もともとかなり優秀なはずです。また、引く手あまたで、ユーザー企業IT部門で安月給で働くはずもありません。なのでこのような人材は、典型的なユーザーIT部門にはなかなか来てくれないでしょう。

 

(データ管理者)

AI的な開発にはデータが必須です。大量のしかもAI開発に適した良質なデータが。

そういったデータを集めて管理するところに価値がでてくるかもしれません。各現場と協調してIoT機器を導入し、データを収集します。そして、どんなデータがどこにあるのか、どういった質のデータがあるのか、こういったナレッジを身に着けることは、AI的開発でも重要なスキルになりそうな気がします。

IT部門が生き残りたければ、今のうちにIoT機器を大量導入し、そのデータの管理権限を握るのも一つの手かもしれません。

 

(旧来型開発エンジニア)

なんでもAI的な開発になるかといえばそうでもありません。AI的な開発に向かないものもあります。

税込計算の計算なんて、AI的に開発するだけ無駄です。
これをAI的に行うと

  • 販売価格100円のとき、税込価格は108円
  • 販売価格200円のとき、税込価格は216円
  • 販売価格1000円のとき、税込価格は1080円

というデータをもとに、

  • 税込価格 = 販売価格 × 108%

という数式を推定します。

もし、計算ミスで、100円の税込が107円というデータが混じると、

  • 税込価格 = 販売価格 × 107.9996%

というような式がでてきそうです。こんな式ができても迷惑なだけです。

このように、人が明確にルール設定しているものについては、データドリブンではなく、ルールベースでロジックを作り開発すればよいのです。

会計システム、販売管理システム等は、この先も大半が旧来型の方法で開発されると思います。

この領域では、IT部門のニーズは残るかもしれません。わずかなニーズだと思いますが。。。

 

さて、この先、ユーザーIT部門にどのようなスキルが求められるのかは不透明ですが、これまでの世界とは違うスキルが必要とされそうです。

これまでは、プロジェクト管理能力、コミュニケーション能力などが重宝されてきましたが、この先はデータ管理能力やDeep Learningのチューニング能力が重要になるかもしれません。

 

かつてのCOBOLエンジニアのようにならないためにも、今からAI系の技術をかじっておく必要があるのかと思います。

 

(まずは素人の皆さんはこちらから。) 

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

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