WEB屋が大風呂敷を広げて始まったWEB開発のお話の続きです。
SIerの逆襲
さてまずは、WEB屋のデザインをもとにSIerが概算見積りを出すのですが、それでは予算に全くミートしないので、詳細を見直します。
まずは、SIerとWEB屋を集めて、デザインの詳細の確認から始めます。SIerからの質問ぜめが始まります。
「この部分の表示条件はどうなりますか。どこで設定しますか」
「マスタ設定するとなると業務上の手間となりますが、大丈夫ですか」
といった業務的な視点から始まり
「ここでこの単価を表示するとなると、都度DBにアクセスが発生しますが、レスポンスは大丈夫ですか」
インフラ的な視点等々、言われっぱなしだったSIerからの逆襲が始まります。
この時点でWEB屋の範疇は超えているのですが、「すべて任せて」と言った手前WEB屋も引くに引けません。
泥仕合
WEB屋としても業務やインフラまで考慮しろとなると、スコープが広がるので、
「いやいやその辺はSIerさんで考えてくださいよ」
と、SIerに投げようとします。しかしながらSIerもそんなもの受け取ると工数が増えるので、そう簡単に受け入れはしません。そうなると
「非協力的ですよ」
など愚痴が始まり、プロジェクトとしては混迷を極めまず。
この時点で既にスケジュール、コストともに当初予定にミートしなくなっているので、IT部門も黙っているわけにはいかなくなります。
「あんたらがPMやって、責任持つっていうから発注たんじゃないか」
と言えば、
「業務やインフラまでスコープとは言っていません」
と泥仕合の様相を呈してきます。
WEB屋とSIerの協調
さて、泥仕合を続けていて困るのは、実はWEB屋とSIerの両方です。スコープが拡大し、スケジュール、コストが増大しても、その分をユーザー企業が補てんしてくれるとは限りません。
ユーザー企業としても、そっち都合で遅れているのだから、その分のコスト負担などするつもりはありません。
WEB屋、SIerともにこれ以上伸びると利益率が悪化するのが目に見えているので、次第に両者の歩み寄りが始まります。更には両社結託して、スコープの絞りこみが始まります。
当初は、ゼロベース思考であったWEB屋も、SIerと同調し
「それをやると工数がかかる割にはUXは改善しませんよ」
など、収束に向かおうとします。
両者が結託すれば、ユーザー部門も徐々に折れて、要件は収束していきます。
かくして最終的にでてきた案は、無難なところで落ち着いたものになります。
確かに、ゼロベースから考えただけあって、SIerのお抱えデザイン会社に頼むよりは、よっぽどましなものができますが、それでも大幅なコスト増、スケジュール増に見合ったかというと、そこまでとは言えないところです。
UI、UXってそんなに大事
WEB屋はUX,UXで言いますが、果たしてそこまでUXに投資する意味があるのかは疑問です。(UIとUXの違いもよく分かっていない人間が言うのもなんですが)
当然、スマホで購入が難しいECサイトなんていうのはありえないですが、ある一定のクオリティを担保していれば問題ないのではないかと思います。
むしろ、同じお金をかけるなら、商品やサービスにコストを入れるべきではないのかと感じます。
だって、楽天なんてUXは褒められたもんじゃないと思いますが、売上はあがってます。
WEBの表面に過度に投資するくらいなら、販売のデータ分析に投資して、商品・サービスの改善を測った方が、よっぽどましではないかと。
ということで、マーケティング、営業など現場部門の方々は、変なセミナーに出て、はやりのワードに熱をあげないようお願いします。IT部門の仕事が増えますので。