中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

「正社員の雇用を守る」のはそんなに重要なことなのか。

 前回IT部門の人員構成の話をしましたが、IT部門は恐らく他の管理系部門より、派遣、アルバイトなどの非正規雇用や、業務委託が積極的に活用されてるように思えます。

 

 これは、歴史的な背景もあるのかもしれません。80-90年代くらいにシステム開発が企業にとって重要な競争要因になってきたころに、多くのユーザー企業がシステム開発の機能を内部化しました。内部の正社員を教育して、システム開発をするような方針を取っていました。直接ITに関連しないメーカーなどもソフトウェアの開発機能を社内を持っていました。

 

 その後バブル崩壊に伴い、「選択と集中」なんかが流行ったこともあり、コアでない事業、ソフトウェア開発は積極的に切り離されていくことになります。

 

 XX会社のシステム部門だったものは、XXソフト(株)など、別会社化され、さらにこの別会社が、他のIT専業会社に売却されていきます。

 

 当然、正社員で抱えていた人材を子会社転籍、売却等するには、労働組合との調整や法的な問題等々、様々な問題があったかと思います。

 

 そういった経験もあり、今では、すべてを内部化するのではなく、外部のリソースをうまく組み合わせてIT部門を構成することになったのかもしれません。

 

 また、IT部門の業務ほど、外部のリソースの選択肢が充実していることもないかと思います。極端な話一人の正社員がなくても成り立つのではないでしょうか。

 

 マネジメントや上流設計は、ITコンサルタントに、開発や運用はソフトウェアベンダーに、PCサポートは、業務委託か派遣にといったように。一人の正社員もいなくてもやっていけそうではあります。ただ、実際は、社内業務の知識が必要だったりするため、数人は社内で人材を抱えるケースが多いかと思いますが。

 

 さて、表題に戻ると、「正社員の雇用を守る」などという経営者が一時期いましたが(今は減った?)、これは裏返せば、「派遣や業務委託は切って人件費の調整するけど、正社員はいろいろと面倒だから手を付けないよ」といっていることにしかならないのではと感じます。

 

 会社の経営という視点からすれば、社内の役割に応じて人員を内部化するか外部化するかを検討する必要があるわけで、正社員が切れないというだけで、本来外部に頼めばよいことを社内の人員で内部化してしまう可能性もあります。

 

 例えば、どうにも使えない年の行った正社員を仕方がないのでPCのサポートデスクをやらせるとか。

 

 こうやって、正社員に無理に職場を与えていることは、派遣や業務委託などの本来優秀で適正のある人材の就労機会を奪っていることになりかねません。結局、適正のない人材に無理にコストを払っているわけで、社会全体で見れば大変非効率な状況になっているのではないかと。

 

 そもそも「正社員」↔「その他」という形が成り立っているところに問題があるとは思いますが。

 

 まあ、とはいえ、IT部門は比較的他の部門よりもましな気がしますが、気のせいでしょうか。

 

 

 

 

 

 

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