中堅企業IT部門の日常

中堅企業IT部門の中間管理職で半研究者の雑談です。毎週火曜日更新予定

世界は若者にやさしくない

 日本でも、若者の非正規雇用者の増加やワーキングプアなどの問題が指摘されていますが、世界でも同じような状況は起きているようです。

 

こちらの書籍では、

僕たちが親より豊かになるのはもう不可能なのか 各国「若者の絶望」の現場を歩く

僕たちが親より豊かになるのはもう不可能なのか 各国「若者の絶望」の現場を歩く

  • 作者: リヴァ・フロイモビッチ,山田美明
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2014/01/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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世界の若者、特にY世代(1976~2000年に生まれた若者)の雇用状況について、現状、問題点を指摘しています。

 

 例えば、米国では、

Y世代は失業率が史上まれに見る高さに達していた時代に成人している。
1948年に統計を取り始めて依頼、最高の若年失業率である。

とのことで、 若者の失業が大きな問題になっています。米国というとシリコンバレーのイメージもあり、若者が活躍し、起業に失敗しても、職はいくらでもあるようにも感じいますが、実際は厳しい状況のようです。

 

ウォルマートが最近、ワシントンDCに二つの店を開いた際、600の求人に対して、2万3000人以上の応募があった。雇用される確率はたった2.6%しかない。ハーバード大学の合格率よりも低い数字である。

4大出た学生でもウォルマートで働くことが困難な状況です。

 

 さらに、イギリスでは若者の5分の1が失業し、スペインでは若者の半分が失業していると述べられています。EU全体としても30歳以下の5分の1が失業しているとのことです。

 

 更に米国で問題になっているのが、若者のローン債務です。多くの若者が教育を受ければ良い職に就けると信じて、大学を目指します。しかし、そこには高額な学費という壁が立ちはだかります。

1990年から2010年の間に、四年制公立大学の学費は2倍以上、二年制大学の学費は71%増加したのに対して、世帯収入の平均はたった2%しか伸びていない。

 これらの高額な学費をローンで賄いますが、その後就職できないため、返済に困ってしまいます。結局、親と同居し、パートタイムなどで収入を得つつ返済を行っていくことになります。

 

 なぜ、高額な学費が学生を苦しめているかと言えば、

学費が高騰した一番の理由は、政府が予算削減のため助成金や補助金をカットしたからた。その結果大学は、自前で資金を調達する必要に迫られた。デモスというシンクタンクの調査によれば、1990年から2010年の間に全日制公立大学の学生一人あたりの財政支援額が26%下落したという。

というように、政府の予算が削られたことにあります。削られた先には、高齢者の医療保障などに充てられます。

 

 なぜこのような状況になっているかというと、答えは単純で高齢者の人口が多いからです。これは、別に高齢者にやさしい社会というわけではなく、単に選挙の票を左右するのが高齢者というだけです。若者はその数からして政治的な決定に影響を与えることはできません。

 著者も

Y世代の対策がおろそかになるのは、Y世代が政治家に忘れやすい立場にあるからだろう。今日の人口の大部分を占めるのは退職間近の年齢層である。現在20~30代前半の年齢層は、有権者としての価値を認められていない。

と述べています。

 

 結局政府としても、票を稼げる層に対して、短絡的にご機嫌を取らざるを得ない状況にあるのだと思います。

 

 これは米国の話ですが、日本はより人口のピラミッドが高齢者に傾くわけで、同じようなことが起きる可能性は十分にあります。

 

 自分は、Y世代ではないですが、しかしながら「逃げ切り」世代でもない、中途半端な状況です。当面は、この凝り固まった雇用環境下でどうやって生き残ってくのか、老後はどうやって食っていくのか、悩ましいかぎりです。

 

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