先日、ちょっとした、ピッチイベントというのに参加してきました。次から次へとスタートアップが、短い時間で自己紹介、企業紹介していくのですが、まあどれも表現がうまいのには感心しました。
でもね、実は中身からっぽだよなというのも多数。
中身があっても伝わらない人たち
いまからちょうど10年くらい前、アカデミックな分野に片足を突っ込むようになりました。その際、始めてアカデミック分野の人のプレゼン聞いたのですが、とにかくプレゼンが下手が多数。
学会なんかでも、目的、既存研究など、だらだらとして最後に結論とかで、もう完全に途中で眠ってしまいます。ビジネスだとサマリーを先に持ってきて、後で詳細というやり方もありますが、学会によっては、「結論は最後に」みたいなばかげたしきたりがあり、そういったことが許容されなかったりもします。
アカデミックの人の話は、ちゃんとした研究者なら内容もしっかりあるし、それなりに味があるのですが、ほんとうに伝え方が下手な人が多く、うまく伝わらないのがもったいないなというのが、当時の感想です。じっくり聞けば良さがわかるのですが、それまで時間がかかる、まあ、スルメみたいなプレゼンです。
ただ、それでも、最近では大学でプレゼンスキルのトレーニングがあることも多く、だいぶうまくなってきているような気はします。
簡単にできる中身がないけどそれっぽいプレゼン
一方で、一般的にプレゼンスキルは顕著に向上しています。最近は、TED等含め多数の教材が存在し、ノウハウがうまく凝縮・共有されるようになってきているので、本一冊読めばそれなりにうまくプレゼンができるようになります。
ただ、問題は中身です。
プレゼンスキルが上がっても中身がないと意味がありません。
まあ、極めつけはこれでしょう。
ウィル・スティーヴン 「頭良さそうにTED風プレゼンをする方法」 - YouTube
このTEDでは、何もメッセージを語っていませんが、ほんとそれっぽく見えます。特に笑ったのが、「Innovation」と書かれた意味のない画面いっぱいの写真。これってよく見かけますよね。内容のないプレゼンで。
ピッチってなんだ?
で、先日参加したピッチイベントですが、まさに上記のTEDのようなプレゼンが満載でした。初ピッチだったので、たぶん行った先が悪かったのでしょうが。
そもそも、ピッチというのはプレゼンとは違うらしく、直感的に伝えることが重要らしいです。
ピッチとプレゼンの違い - Follow Your Heart
10をこえるピッチがあった(そもそも多すぎる?)のですが、どれも表現力は豊かで、確かに直感に訴えかけます。大きな写真と、大きなフォントの短いメッセージ。なんとなく、インパクトがあるような、ないような。。。
ただ、少し立ち止まって考えると気づきます、小さなことをいかに大きく見せようとしているかに。
パターンとしては、
単なる中抜きビジネスなのに、「社会を変えたい」的な表現で意味づけをするケース(それって後づけでしょ?)。
狭い狭いマーケットに限定して、すごいシェアです!、と大きく見せるケース(その市場すべてとっても10億円程度しかないよ?)
というのが、結構目につきました。
実は厳しい競争市場の中で、狭いマーケットを定義して、「独自、新たな市場を開拓」を強調するはどうも上等手段らしくピーター・ティールが批判してます。
非独占企業は、さまざまな小さな市場が交差する場所を自分たちの市場と位置付けることで、自社の独自性を誇張する。
例えば、単なるイギリス料理でも、パロアルトのイギリスレストランと限定すれば、独自性が主張できます。でもそもそも、そんな潜在的なマーケットほとんど存在していないわけです。
まあ、スタートアップの宿命かもしれませんが、多くが非独占企業のプレゼンになっているような。
スタートアップにとっては貴重な場
とはいえ、こういった場がないと、スタートアップは自社紹介もできないのかもしれません。
事前に審査して絞り込んで厳選するのもありかと思いますが、そうすると、本当に厳選されたプレゼンターしか残らず、出来立てのスタートアップにはチャンスがなってしまいます。
それだと、資金調達のチャンスも得られず、うまくスタートアップ界隈にお金が回らないのかもしれません。
また、中には、プレゼンが超下手だけど中身が面白いというのもあります。決してすべて中身がスカスカというわけではありません。まさにスルメのようなプレゼンですが、噛んでいる間にピッチだと終わってしまいます。そのあと、個別に話を聞くとようやく意味がわかるのですが。。。
まあ、聞き手の目的や、意識などもあるので、今回のピッチがイマイチに感じたのは、自分(聞き手)の問題かもしれません。