前回の続きで、単純作業の有効活用について
労働搾取?
単純作業を依頼するプラットフォームとして、Amazon Mechanical Turk(MTurk)があります。ここでは、音声認識や画像のタグ付けなど、一件数セント程度の仕事が発注されています。
発注者はこれらの単純作業を組み合わせて一つの商品として、利益を上げています。例えば、会議音声の文字起こしなどが、このサイトを活用して行われています。
これらの仕事を受注する側の多くは、インド等の生活水準の低いアジア圏のワーカーが中心です。ある調査ではMTurkで働くことによる時給は$1程度とも言われています。
個人的には、$1でもそれに十分に価値を感じているのであれば、問題ないのではないかとも思うのですが、一部では、「先進国が発展途上国のワーカーを安い賃金で働かせている」という批判も出ています。
また、MTurkのような単純作業とまではいきませんが、
TaskRabbit connects you to safe and reliable help in your neighborhood.
のような、比較的簡単な作業請負も労働者を搾取しているといわれがちです。
今月のクーリエの特集にも、ニューヨーク市立大学大学院センター「文化・テクノロジー労働研究所」の所長が、
賃金をもらう”奴隷”とさえもいえると思います。労働を提供する先が企業であるにせよ、個人の依頼客であるにせよ、すべての主導権が『雇用主』に握られているのに変わりはありません。これは、テクノロジーが斡旋する”奴隷制度”です。
と、かなり痛烈な批判をしています。
学習なら良い?
安い賃金で労働力を買い叩いているというのが問題であれば、受注者側に十分なメリットを提供すればよいのではないか、しかも金銭ではなく。
そういった視点からできているのが、こちらのDuolingo | 無料で英語を学ぼうです。
これは、前回のルイス・フォーン・アーン氏が考えたサービスで、英語学習を行うサイトです。登録料・参加料は無料で、サイト上で質問を答えていくことで英語のスキルが身に付くというものです。
実は、英語の設問を説くことで、スキルアップしていると同時に、WEBサイトの翻訳にも貢献する仕組みとなっています。詳細は分からないのですが、ユーザーが回答すればするほど、設問の精度もあがり、WEBサイトも翻訳されていくそうです。
まあ、確かに、時給$1のMTurkで働く気にはなりませんが、このサイトなら多少は勉強してみようかなという気にはなります。先進国の日本人も参加する気になるという点では、MTurkより高い価値を提供しているのかもしれません。
エクセル、パワポなんかでできないか
同じような仕組みが、エクセル・パワポでできると、少しは企業内の余剰人員活用につながるのではないかと。
例えば、パワポの学習ツールで、「テキストボックスの作ってみよう」、「複数のテキストボックスを並べてみよう」などの課題をこなしていくと、実際の資料が一つ完成するといったようなことができないかと。こういったのができれば、スキルの低い人が学習しつつ、実際の資料作成に貢献できるのではないかと。
もしくは、エクセルの学習ツールで、「XXのセルを合計して、平均を計算しよう」などの課題を解くことで、実は、実際に業務上で利用しているエクセルデータの2重チェックすることにつながっているなど。
なにか、学習しながら、業務に役立てるようなことがあれば、企業として仕事をさせつつ、学習もできるのではないかと。
誰か作れば需要あると思うんですが、どうでしょうか。