チーズはいつかあげるからね>
かつて『チーズはどこに消えた』というベストセラーの自己啓発書がありました。
いつもあったチーズがある日なくなり、それをめぐってねずみや小人が右往左往する物語です。チーズは社会で言う報酬です。そのチーズをめぐって、人はどう行動すべきなのか、それを語る自己啓発書です。
さて、日本企業に来て驚くことは、このチーズ(報酬)が、ぶら下げられるけどなかなかもらえないということです。
評価で言われることは、
「良くやってくれた!いつかチーズをあげるからね」
です。
しかしながら、日本企業では仕事をがんばって評価されたとしても昇給し、報酬につながるにはかなりのタイムラグがあります。それは年単位、下手すれば10年くらいのラグがあります。外資系なんか1年で昇進や解雇になるところも多いので、それに比べるとかなりゆっくりな時間が流れています。
また、チーズを「おあずけ!」することにより、30代、40代の中堅社員は、報酬以上の付加価値を提供しています。そしてそれにより、年配の高額所得者達を支えています。
はたしてこの先、50歳になったとき、その差額はもどってくるのかはなかなか疑問です。なんか年金の積み立てみたいなものです。年金の仕組みといち中堅企業の継続どちらの信頼があるのかは微妙ですが。。。
ただ、外資見たいの短期的な視点でチーズを上げるのと、長くぶら下げるのとどちらが良いのかは一概に言えません。
まず、人間が将来を見通せる能力には限界があります。
例えば、サブプライムローンを売りまくった営業は、恐らくその年の評価は高かったはずです。たとえその行動が将来自分の会社を倒産に追い込むとしてもその単年では利益をだし、評価されたはずです。
つまり、人間は数年先の効用も予測できないわけです。
一方で、「いつかあげるよ」的な評価なら短期的な利益を目指して無理をしないので、企業にとって大きなリスクをもたらさないのかもしれません。(その分、イノベーションも起きそうにないですが。)
さて、チーズはどこに消えたでは、
進んですばやく変わり、再びそれを楽しもう チーズはつねにもっていかれる
Be Ready To Change Quickly And Enjoy It Again & Again
They Keep Moving The Cheese
というセリフがあります。日本企業にいてそのスピード感に浸ってしまうと、ふとしたタイミングでチーズを持って行かれるかもしれません。
自分が何をするにせよ、常に自分がどこにでも行ける準備をしておく必要があるのかもしれません。
- 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2000/11/27
- メディア: 単行本
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(外資系で死にかけて、仕事が楽しくない時期に読んだ記憶があります。)
(これはひとつ自己啓発の方法を語るのではなく、そもそも多くの自己啓発書を読んでもなぜ成功できないのかというところからスタートします。)