中間管理職になると意思決定が増えます。それもしょうもない意思決定が。
「A案とB案のどちらが良いか」
みたいなのはたくさんあるのですが、多くの場合、A案はAさんの案、B案はBさんの案といったように、裏に人間関係が潜んでいたりします。
つまり、一見施策を検討しているように見えて、人を選択していたりします。こういった場合、結局どちらを選んでも、一定の不満が生じ、全員がハッピーなんてのは成り立ちません。
ちょっとした踏み絵みたいなものです。中間管理職の意思決定なんてものは、意思決定という踏み絵を踏んで部下の不満のはけ口になることでしかありません。
若いころは愚痴ばかり
若かりし頃は、良く上司に自分の意見が外されたりすると、「あいつわかってねぇよ」など息巻いていました。
それは、上司への個人攻撃から、マネジメントへの攻撃、最終的には会社への攻撃に達します。自分で言うのもなんですが、とにかく愚痴っぽい人間ではありました。
当時は、「俺に決めさせてくれれば」と思ったものです。俺に決めさせてくれれば文句は言わないなど思っていました。
中間管理職の意思決定
時は流れ、自分も40歳をゆうに超えると部下もでき、さまざまな意思決定の場面に直面します。
しかし、その意思決定は多くの場合、若かりし頃に抱いた純粋な意思決定ではありません。MBAで習うような戦略的に見てとか、pros/consを勘案してなどというケースはそれほど多くありません。
各意見には人が紐づき、部下、上司等々ステークホルダー様々な人々のしがらみの中で、自分の意見を求められます。意思決定はほぼ人の調整と同義だったりもします。
「もう、何言ったてどう決めたって文句ばっかり出るんだよ。やってらんねぇ」
などと、意思決定できる立場になっても、自分の愚痴は減りません。ただ、会社で文句を言う相手が減ってきただけで、会社以外で息巻いているのが現状です。
社長の意思決定
この話を、今は転職して中小企業の社長となった元同僚と話したところ、
「もう少し上言ってみれば、愚痴もでなくなるよ」
「もうすぐ面と向かって文句を言う人もいなくなるよ」
そこには、自分のまだ見ぬ世界の住人になり、そこはかとなく寂しげな表情で語る、かつての同僚がいました。
社長ともなれば会社は自分の意思決定で動きます。当然部下からのやっかみや恨みも買うのでしょうが、会社を動かすためなら仕方のないことです。
かつては自分で決められないことをに文句を言っていましたが、中間管理職になり今度は自分で決めなければならないことに文句を言っています。そして、最後は自分で決めるしかない状況で文句も言えなくなります。
ある面では、中間管理職は文句が言えるだけ気楽なのかもしれません。
さて、人生で一番幸せなのはどこだったんでしょうか。昇進という階段をのぼり始めると降りるのは困難です。
エジプトピラミッドは一旦階段を上り始めると後ろから人が続き、進み続けるしかないそうです。(いったことがないのですが)
一度、入ってしまうと戻ることも休むこともできないのです。
会社人生で一番幸せなのはいつだったのか。一番下っぱで、何も決められない時が、愚痴のいい放題で一番幸せだったのかもしれません。でも、ここまでくると、あの時代には戻れません。
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